コラーゲンのアミノ酸配列と吸収性に関して
本資料は、健康食品やサプリメント等の製造・販売者向けの記事となります。
記載している情報は一般消費者向けではなく、
市販品についての効果・効能を標榜するものではありません。
ご了承のうえ、閲覧してください。
目次
1.特殊なたんぱく質―コラーゲン
コラーゲンが優れた健康・美容素材である、という漠然とした認識は、消費者の間に広く浸透しています。一方、コラーゲンがたんぱく質であることや、美容以外の機能が豊富なこと、アミノ酸配列の特殊性、ペプチドの吸収性など、詳しい内容についてはまだまだ認知が浅いように思われます。本文では、コラーゲンを正しく活用するために、特にコラーゲンのアミノ酸配列と吸収性にフォーカスを当てて解説を行います。
1-1.コラーゲンのアミノ酸組成
コラーゲンは動物の皮膚や骨などを構成する特殊なたんぱく質です。そのためアミノ酸配列も特殊で、残基の種類に偏りがあるのが特徴です。左の表に、コラーゲン(Peptan®)、ホエイたんぱく、大豆たんぱくのアミノ酸組成を一部比較しました。コラーゲンは他のたんぱく質よりもアラニンやグリシン、プロリンが多く含まれています。中でも注目されるのがコラーゲンに特有なアミノ酸―ヒドロキシプロリンです。このヒドロキシプロリンの存在により、コラーゲンは様々な生理機能を有するとされています。
1-2.特殊なアミノ酸
ひと昔前に「コラーゲンは体内でアミノ酸まで分解されるから経口摂取しても意味がない」という通説がありました。しかし最近の研究において、この通説は否定されました。体内に取り込まれたコラーゲンは完全に分解されることはなく、ジ・トリペプチドとして小腸上皮細胞から吸収されるという研究結果が報告されたためです。ではなぜコラーゲンはアミノ酸まで分解されないのでしょうか?その要因のひとつが、先ほどのヒドロキシプロリンです。ヒドロキシプロリンと結合したアミノ酸は立体構造的に酵素分解を受けにくくなります。その結果生じるヒドロキシプロリンと他アミノ酸で構成されるジ・トリペプチドは、そのままの形で皮膚や軟骨に輸送されます。さらに輸送先の細胞においてジ・トリペプチドは特徴的な生理機能を発揮します。吸収性に関して、その研究結果を事項で解説します。
2.コラーゲンペプチドの吸収と輸送
2-1.コラーゲンペプチドの吸収性
コラーゲンを体内で分解して産生されるジ・トリペプチドは、小腸の上皮細胞から吸収されます。左のグラフは、マウスにコラーゲンペプチド(Peptan®)50 µgを経口摂取させた後の血中ヒドロキシプロリン量です。(ルスロ社非公開研究より)血液中のヒドロキシプロリンが摂取約1時間後にピークを迎えることが分かります。
2-2.吸収されたペプチドのターゲット細胞への輸送
では血液中のペプチドはどこへ輸送されるのでしょうか。マウスに14C-Hyp(標識ヒドロキシプロリン)を投与した研究(Kawaguchi et al., 2012.)によると、投与30分後に、画像に示すターゲット細胞に輸送されることが分かっています。
2-3.コラーゲンペプチドの機能
皮膚や軟骨、骨に輸送されたコラーゲン由来のペプチドは、それぞれ特徴的な役割を担います。例えば肌ではコラーゲン産生を刺激して弾力やハリのある肌を作ります。また髪の毛や爪を強くしなやかにしたり、骨代謝のバランスを改善したり、筋損傷の回復を促進したりします。これはコラーゲン由来のジ・トリペプチドが、輸送先の細胞でシグナルのような役割を担うためだと考えられています。 コラーゲンペプチドの機能の詳細については下記リンクからご参照ください。
【機能性エビデンス】コラーゲンがもつ生理機能
3.コラーゲンの特殊性を活用する
このように、コラーゲンは体内に吸収されたのち、その特殊なアミノ酸配列から様々な生理機能をもたらします。 美容イメージが強いコラーゲンですが、2-3の生理機能から考えると、コラーゲンはスポーツニュートリションや高齢者向けなど、様々なコンセプトで活用できることがわかります。下記に目的別のコラーゲンの活用方法についてまとめていますので、ぜひご覧ください。
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