本事例のポイント
- 1 .食品業界の新規事業における迅速な商品化への挑戦
- 2 .量産化想定ではない企画とパートナーコミュニケーションコストの課題
- 3 .お客さまのコンセプトを実現できる一貫したサポート
ご依頼内容
大手企業の新規事業部門、特に食品分野の新規事業を担当するお客さまからのご依頼です。目標は、独自のコンセプトを基にした新商品を迅速に市場に投入すること。新規事業ゆえにスピードが重要で、お客さまは早急に商品化を進めたいという強い意向をお持ちでした。
課題・背景
独自性のあるコンセプトとマーケティング戦略に基づいた商品企画が行われたものの、工場への実装がうまくいかなかったそうです。その理由として考えられたのが、工場での量産を想定せずにコンセプト設計や商品企画を進めてしまったことでした。
また、量産化には複数のパートナー会社とのやり取りが必要となり、その結果としてコミュニケーションコストが大幅に増加してしまったとのことでした。特に、複数の外部業者との連携においては、コミュニケーションの難しさが顕著に表れていたようです。商品企画フェーズと量産化フェーズでは関与する担当者が異なるため、各会社に対してコンセプトを再度伝える必要があったのですが、この過程で情報の伝達がうまくいかず、誤解や混乱が発生したことが問題をさらに複雑にしてしまっていました。
さらに、新規参入ということで、加工食品の開発や製造に関する知識、例えば、原材料の選定や製造プロセスについての知識が社内になかったことも要因の一つでした。製造工場とのやり取りにおいても、前提知識が異なってしまい、これが結果として支障をきたしてしまったそうです。
これらの問題を解決するためには、初期段階から量産化を見据えた商品企画が必要であり、工場との連携を強化することが重要でした。また、複数のパートナー会社とのコミュニケーションを円滑にするためのシステムやプロセスの整備も必要でした。
支援内容
商品形態の見直し
当初の商品の形態では量産化が難しかったため、コンセプトやターゲットを考慮しつつ、実現可能な他の選択肢を複数提案しました。一般的なOEMでは工場が固定されているため、このような代替提案は難しいですが、当社は全国の多様な協力工場とつながりがあるため、多様な選択肢を提供できます。また、豊富な商品開発と製造の知見も蓄積しています。さらに、市場のマーケティング調査だけでなく、技術面からも実現可能性を検討し、初期段階から量産化を見据えた検討を行いました。
量産化を想定した処方設計
商品開発の初期段階から量産化や流通上の品質保持を考慮して処方を設計し、手戻りを減らしてスピーディーな開発を実現しました。複数パターンの試作品を提示し、イメージに沿った風味や食感になるよう調整しました。これにより、選択肢を比較検討しながら絞り込むことで、「おいしさ」というテーマでもスムーズに進行することができました。
品質規格の設計と検証
法規制だけでなく、小売や流通業者から求められる品質規格も先回りして検討しました。大手食品メーカー様との取引を続けてきた当社だからこそ、食品業界で求められる最適な規格設計のご支援ができます。また、商品開発の早期化においてボトルネックとなる賞味期限設定も、当社の過去の知見を活かしてスムーズに進行できました。
製造工場との調整
ラインテストや製造立会、原料や資材調達の一貫対応を行い、面倒な調整業務を一括して対応しました。開発のコンサルティングとOEM対応を兼ね備えた当社の強みを活かし、お客さまがマーケティングや販促業務に専念できる環境を提供しました。
支援結果
スムーズなプロセス管理を駆使して迅速な市場投入を実現し、他社に先駆けて新商品を市場に送り出すことができました。また、当初のコンセプトに忠実でありながら高品質な製品を提供することにも成功しています。さらに、業務を一括して行うことで効率的なコミュニケーションを確保し、コミュニケーションコストを大幅に削減しました。これにより、迅速かつ高品質な製品提供とコスト効率の両立を達成し、競争力を大いに向上させることができました。