本事例のポイント
- 1 .技術的難易度の高い高栄養製品開発への挑戦
- 2 .立ちはだかる商品化の壁〜風味・品質保持・量産化〜
- 3 .要件整理から製造工程最適化までプロジェクトを成功に導くプロセス
ご依頼内容
新規事業開発のコンサルタントであるお客さまからのご依頼です。
お客さまは過去に食品の新商品開発を担当されたご経験があり、今回も実現に向けた高い熱意を持っておられました。しかし、今回は技術的なハードルが高かったため、過去案件のOEMメーカーからは断られてしまったとのことです。
クライアントの特性と市場ニーズを基にした新商品の企画を具体化し、迅速に市場に投入することを目標に、当社に技術課題の解決をご依頼いただきました。
課題・背景
高栄養の製品を開発するというコンセプトに基づいて、クライアントとお客さまがプロジェクトを進められていましたが、いくつかの課題に直面し、進行が滞ってしまっていました。
まず、高栄養にすると食感や風味が期待するレベルに達しないという問題。消費者に満足してもらえる味や食感を実現することが難しく、これが一つの大きなハードルとなっていたとのことです。
また、高栄養の製品を量産するための工場を見つけることが難しいという課題も抱えていました。製造工程や殺菌工程において特別な設備や技術が必要となるのですが、対応できる工場が限られており、量産体制を整えることが困難となってしまったそうです。
さらに、製品の賞味期限を延ばすことも目指されていましたが、これにも物性面での品質担保が難しいという問題がありました。賞味期限を延ばすためには、製品の物性や品質を長期間にわたって保つ必要がありますが、現状ではそれを実現するのが難しい状況となっていました。
これらの課題を克服するためには、さらなる研究開発や技術の改良が必要であり、消費者に満足してもらえる高栄養の製品を提供するためには、食感や風味の改善、量産体制の確立、そして長期保存が可能な品質の確保が不可欠でしたが、技術的なハードルの高さから、これまでお付き合いのあったOEMメーカーでは対応ができないと断られてしまったそうです。
支援内容
開発要件の整理
まず、開発要件の整理を行うために、お客さまの要望を詳細にヒアリングを行いました。具体的には、栄養成分や製品設計、流通条件などの要素を基に、開発の要件を明確にしていきました。お客さまのニーズを的確に把握することが、成功する製品開発の第一歩となり、開発の方向性を定め、具体的な目標や達成すべき基準を設定しました。
解決手段のスクリーニング
次に、開発要件に対して複数の解決手段をスクリーニングを行いました。特に、たんぱく含量を高めるための技術的ハードルを克服する手段を重点的に検討しました。このプロセスでは、様々な技術や方法を比較し、最も適切な解決策を提案、複数の選択肢を検討することで、リスクを最小限に抑え、最適な解決策を見つけることが可能になりました。
ゲル化剤の開発とテーブル試作
高栄養でありながらおいしさを兼ね備えた製品を実現するため、独自のゲル化剤を開発しました。高栄養を担保すると、どうしても風味や食感、特にのど越しが悪くなる傾向があるため、この課題を解決することが重要でした。栄養成分や品質設計の要件を満たしつつ、期待するおいしさに仕上げるために、試作と調整を繰り返すことで、栄養とおいしさのバランスを最適化することができました。
製造工程の最適化と工場選定
高栄養製品の製造に向けては、混合不良や送液、殺菌工程の課題を解決する必要がありました。製造工場の選定だけでなく、製造工程そのものも当社で詳細に検討し、最適化を図りました。この過程では、何度もラインテストに立ち会い、実際の製造環境での試行錯誤を繰り返したことで、最終的に、これらの課題を克服し、商品化に成功しました。製造工程の最適化により、高品質な製品を安定して供給することが可能となりました。
支援結果
技術的ハードルの克服により、高栄養な製品の開発が成功しました。抱えていた高度な課題に対して具体的なサポートを提供することで、試作から量産化までのプロセスが一貫してスムーズに進行させることができました。また、品質規格の設定や工場監査などの適切な品質管理を行ったことで、プロジェクト全体が円滑に進み、高品質な製品を提供することが可能となり、クライアントからの信頼を得られたと、ご評価いただくことができました。