開発者ストーリー

高含有ペクチンゼリー
ペクチンケアーゼリーの製造技術とその展開

素材の特性理解と工場への落とし込みまで
ペクチンのプロとして、自信を持った開発を提供

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    ペクチンの特性と当社の取り組み

    当社はペクチンを取り扱う会社です。ペクチンは他の多糖類と⽐べて、もったりとした⾷感を持ちながらも、フレーバーリリースが⾮常に良いことが特徴です。通常、もったりとした⾷感の原料は味が良くないことが多いですが、ペクチンは味がしっかりと出やすく、さらに素材⾃体に嫌な味がありません。ペクチンは⾷物繊維でもあり、整腸作⽤などの様々な機能性を有しています。⾷物繊維源としても注⽬されており、それを⼿軽に摂取できる形で提供したいという思いも含めて、ペクチンを提案しています。

    現在の⾷品トレンドは、通常の⾷品に付加機能を持たせる⽅向にシフトしています。サプリメントと⾷事を考えたときに、⾷事でありながらサプリメントの様な効果を補強できる形態として、ゼリーやバーが市場で主流となっています。このトレンドに着⽬し、当社はペクチンケアーゼリー(1食に4.8gのペクチンを配合)を上市するための取り組みを開始しました。

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    開発の課題とペクチンの特性調整

    ペクチン高含有のゼリーを作るにあたり、①食べるのに適した食感になるのか、②実機工程に落とし込めるのか、という懸念点がありました。これらの課題をクリアするために、開発を進めました。ペクチンは粘度を発現する特性がありますが、その種類や品番によって発現度合いが異なります。また、温度やpHなどの条件によっても発現の程度が変わるため、様々な種類のペクチンを組み合わせることで、ペクチンをたっぷり配合しながら、美味しく食べられるように調整しました。

    ペクチンは魅力的ではあるものの非常に複雑な素材です。当社がペクチンのプロフェッショナルであるからこそ、各種の反応性や食感の違いに考慮した検討ができ、最適な配合を見つけ出すことができたと考えています。

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    工場との連携と製造プロセス

    製品化にあたり、工場での実機製造とラボ試作は様々な違いが存在し、工場との連携は非常に重要です。例えば、実機製造では洗い水やメスアップ水が必要になるため、初期溶解水に使える水量は、全体の加水量より少なくなります。そのため、実機検証時はそれら差し引く必要があり、工程毎に調液の液性に実機的性があるかどうかを判断することが重要です。特に増粘剤を扱う場合は、濃度が高まり粘度も大幅に上昇するため、工場の担当者とこうした検証は欠かせません。工場は自社で粘度の上限値や測定条件などのルールを設定していることが多く、当社は実機への落とし込みをより現実的にするため、開発段階でそのルールの有無や詳細を確認し、 それに合わせた処方づくり、製造への落とし込みを心がけます。今回も両社の立場を踏まえ、最適な形で製造ラインに落とし込むことが出来ました。当社のOEMでの経験が生かされている場面でもあります。

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    ペクチンゼリーの市場価値と特徴

    ペクチンを使用したゼリーは、他の代表的な食物繊維素材と比べて珍しく、市場認知度は高くありませんが、整腸作用や血糖値上昇抑制などのエビデンスもしっかりと取られています。ペクチンは糖鎖の構造として、主鎖が長く、側鎖も多いため、構造としても非常に魅力的です。ここまで高含有のペクチンゼリーはこれまでに例がなく、ペクチンの機能性が詰め込まれたゼリーです。

    物性的にも非常にもったりとした食感が特徴的です。もたっとした食感は好き嫌いが分かれることもありますが、消費者からは「お腹にたまる」という声が多く、おにぎり1個分ぐらいのカロリーを減らせるという意見もあります。置き換えダイエットにもおすすめです。市販のゼリーは寒天系のものが多く、サクッとすっきりした食感ですが、ペクチンゼリーはもったりかつフレーバーがスッキリしていることが良い点として挙げられます。

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    今後の展望と開発の重要性

    今回の取り組みを通じて、工場の製造設備や状況により目を配るようになりました。また、液体製品の経験を積むことができました。最近では、健康要素を付加した食品が増え、特定の成分を高濃度で含有させたり、特別な成分を追加する要望が増えています。こうした要望に応えるためには工場様と協議してより正確な実機適正の検証系を模索し、想定通りの仕上がりを実現できるよう取り組むことが重要です。

    開発ノウハウはあるものの、リソースが不足している企業からの問い合わせも増えています。お客様と当社の長所を生かしつつ、両社で知識を補完し開発スピードを更に加速する取り組みができれば、お客様に対して大きな価値を提供できると考えています。お客様の独自の製品の考え方に合わせて、柔軟に対応することが重要です。案件を通してお客様と工場様双方から学びの機会頂くことに感謝し、お客様の希望をかなえられるよう日々邁進していきます。

開発者情報
小林 優介

開発本部商品開発G所属 2017年入社

ペクチンをはじめ自社原料の製剤開発業務に携わり、その後ODM事業の営業と開発を兼任し、現在は開発専任をしている。