開発者ストーリー
口腔ケア素材
クリアアパタイト®の展開
市場ニーズを掴むみ、対応する
⼝腔ケアに最適な⾷品素材が切り開く道
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01
口腔ケアの重要性と市場の変化
近年、⼝腔ケアの重要性が⾼まっており、このトレンドは今後も続いていくと考えられています。⼝腔環境の健康が⾝体全体の健康に繋がると報告されており、国⺠⻭科検診の導⼊も話題に上がっています。特にコロナ禍でのマスク着⽤からマスクを外す⽣活に戻る中で、⻭の⻩ばみや⼝臭の改善に対するニーズも⾼まっています。このトレンドに対応するため、⻭に直接アプローチできる素材としてヒドロキシアパタイトに注⽬しました。この素材は従来より歯磨き粉 (化粧品分野) などで使用されていましたが、色素や菌を吸着する効果を有する食品素材としては存在していませんでした。食品に応用することができれば、魅力的かつ画期的だと考えました。
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02
機能性表示制度とデータ収集
食品で魅力的な機能を訴求するためには、機能性表示制度を活用する必要があります。そのため、当社が主体となり、機能性表示に向けて、外部機関や大学と連携してデータ収集を行いました。
最初は社内試験から始まり、臨床試験も実施。また、⾷品素材として展開するために⻑期摂取の安全性データ取得や、摂取に適した剤形の検討にも着⼿しました。これらのデータを基として、⾷品グレードのヒドロキシアパタイトを「クリアアパタイト®」というブランドで展開することを始めました。現状として、機能性表示の受理はまだ完了していませんが、届出は済んでおり、研究の知見を活かした取り組みを進めています。
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摂取タイミングだけでなく味にもこだわり
クリアアパタイト®を⾷品へ展開する秘訣クリアアパタイト®は⼝の中で⼀定時間滞留する必要があるため、それに適した剤形を開発する必要がありました。当社のこれまでの数多くのODM事業経験を⽣かし、クリアアパタイト®の粉末⾃体の優れた特性を損なわせずに、タブレット、可⾷性フィルム、ガム、ペーストなどのさまざまな剤形に応⽤、開発を⾏うことができました。
当社が発売した「Brighteeth®」は、クリアアパタイト®の認知を広げるためのモデル品として提供しています。歯磨き粉とは異なり、食品だからこそ飲み込むことが出来るので、いつでもどこでも使用可能な歯磨きタブレットをコンセプトとしています。また、年齢問わず、お子様にもご使用いただけるよう、定番のミント味だけでなく、イチゴ味も揃えました。美味しくないと続けられませんし、この味づくりは当社のODM事業の蓄積があるからこそできました。
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04
市場での高い評価を受けたBrighteeth®
Brighteeth®は、歯磨きができない状況下でもケアができる便利で手軽な商品として評価されています。2024年1月の能登半島地震では、水不足で歯磨き等の口腔ケアが出来ない状況が続き、特にご高齢の方では、雑菌が肺に入ることで引き起こされる誤嚥性肺炎の患者が増加しているようでした。そこで、歯磨きの代替として避難所にBrighteeth®を提供しました。また、ウェルネスフードアワード2024ではサプリメント部門で銀賞を受賞し、一般投票では1位を獲得しました。口腔ケアの重要性が認識されつつある中で、食品で手軽にケアができる点が高く評価されました。
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今後の展開と多様な用途への応用
当社は、クリアアパタイト®を配合した⾷品を、⻭磨きに匹敵するものとして認知させ、世の中に広げることで、世界中の人々の健康に貢献することを⽬指しています。タブレットの剤形ではBrighteeth®というプロトタイプ品を作り上げましたが、新たな剤型として、可食性フィルムにおいても、クリアアパタイト®が高配合となるように開発し、効果を実感して頂けるようにしました。今後はそのような他の剤型も活用しながら、クリアアパタイト®が人々の生活に溶け込んでいけるよう提案を進めていきたいと考えています。
また、クリアアパタイト®の吸着⼒を活かし、食品業界だけでなく、その他の工業用途でも様々な場面で活用できると考えています。これに向け、クリアアパタイト®の粉末をビーズ状や棒状に加⼯し、⽤途に適した形での提案・検討を進めています。
開発者情報
岩政 菜津紀
営業本部テクニカルソリューション3G所属 2018年入社
品質保証業務、研究開発業務、ODM業務への従事歴を持ち、商品開発の技術全般に通じている。現在は、企画型セールスとして当社が持つユニークな素材や技術力を食品業界・他業界へ向けて展開している。特にクリアアパタイト®ではプロダクトリーダーとして、日々魅力を発信することに奮闘中。