開発者ストーリー
最新トレンドに対する初の試み
プラントベースパティのOEM受託
肉と変わらない食感と満足度の高い味を実現
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01
プラントベースフードの需要とパティ開発の依頼
近年食品に対するニーズが多様化しており、プラントベースやヴィーガン食品に関するご要望が増加しています。今回すでにプラントベースフードを展開しているお客様から、ラインナップを拡充するためにプラントベースパティのOEMの依頼をいただきました。この依頼には、プラントベースパティという条件に加えて、添加物をあまり使用しない、もしくは不使用で進めたい原料があるという要望が含まれていました。さらに、弾力、硬さ、お肉のようなジューシーさを兼ね備えたパティの開発が求められました。この取り組みは、当社でもこれまでにない新たなトレンドに対する初の試みとなりました。
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02
工場での製造と原料配合の考慮
プラントベースという条件下で、弾力や硬さをしっかり出すためには、どのような原料配合を組むかが重要です。また、工場の製造ラインでのハンドリングのしやすさや、複雑にならない工程を考えることも求められました。ラボと工場のスケールの違いでうまくいかないことも多く、ラボでの手試作では簡単に作れてミキサーでよく混ざるものが、工場の大きい容量では全然混ざらないことがよくあります。工場に頻繁に行って試作することが難しいため、工場のスタッフと連携しながら、「もう少し柔らかくないとダメだよ」などとやり取りを重ねました。
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03
製造工程の課題と解決策
美味しい食感のパティを工業的に量産するためには、パティの素材同士をしっかりなじませたり、機械での焼成時に付着や焦げを防止したりなど、各工程を一つ一つクリアする必要があります。しかし、当社ではパティやお肉を扱う工場は初めてであり、今まではドライ流通品や常流通品を担当していたため、全く異なる工場で管理方法も異なるという難しさを感じました。しかし、今まで他分野におけるOEMで様々な工場に導入してきた経験があったため、衛生管理や製造工程中のリスク管理、効率的な作業工程の配置についてなど、お客さまと対等に話をすることができました。そのため、1つずつ課題を解決し、初めての取り組みの中でも、しっかりとプロジェクトを進めることができました。
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04
食感創造における確かな知見による開発
当社が食感のキーとなる原料を取り扱い、知見があったことは、繊細さが求められる味づくりや食感づくりにおいて大きな武器となりました。プラントベースのような使用原料に制限がある開発では、臭いのマスキングやコク・厚みの出し方に関する当社の過去の知見が大いに役立ちました。弾力、硬さ、ジューシーさを兼ね備えたプラントベースパティが完成し、依頼されたお客様からも「美味しい」という声を頂いております。製造発注量も当初より増え、売れ行きも好調です。
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05
今後の展望とさらなる進化の可能性
あるお客様に提案した際、「他社のプラントベースパティはソースで食べさせることが多く、ソースが濃い味付けである」と言われましたが、当社品はソースをかけなくても美味しいと評価されました。今回の経験を活かし、パティ以外のプラントベースのアプリケーション(例えばスープやリゾット)の開発依頼にも対応していきたいと考えています。使用可能な原料に制約がある中での開発を行ったため、アレルゲンフリー食品の開発にも応用できると期待しています。
開発者情報
那須 みどり
開発本部商品開発G所属 2011年入社
原料販売の営業を経て、OEMの営業兼開発業務に従事、現在はOEM、開発支援サービスをメインとして開発全般の業務に取り組む。